03:26 2019年12月10日
馬毛(まげ)島

日本が米空軍に贈る「理想的なプレゼント」

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日本政府は民間企業の所有の馬毛(まげ)島を160億円で買収することを決めた。九州と沖縄の間に位置し、面積8.2平方キロメートルのこの島は米空軍と日本の自衛隊の陸上離着陸訓練場として使用される。政府は島買収に至った主な理由について、近隣住民のいない土地に飛行場を作ることで訓練の騒音が発生しないようにとの計らいだと説明しているが、中国はこれによって日本政府は尖閣諸島へのコントロールを強化しようとしているのではないかと憂慮の念を表している。実際はどうなのだろうか。スプートニクは複数の専門家に見解を尋ねた。

土地探しが始まったのは8年前。日本政府が駐留米軍に飛行訓練に適した場所を提供することに同意してからだった。現在、米空軍は飛行訓練で日本の人口過密地帯の上空を飛んではならない。訓練は岩国基地から1400キロ離れた硫黄島で行われているが、馬毛島はこれに比べ基地からわずか400キロと近く、理想的な距離にある。日本のマスコミが報じる島購入の公式的な理由は住民への配慮。産経新聞に載せられた岩国市の福田良彦市長の発言では、「恒久的な訓練施設の確保は住民の不安軽減のためにも必要」と指摘されている。

日本の米軍基地は以前から地元住民の不満を呼んでいる。不満の種類は様々だが、中でも特に大きいのが軍用機の騒音だ。また先日にはF-16戦闘機が青森県の上空を飛行訓練中に訓練場の外に模擬弾を落下させ、大きな波紋を呼んでいる。

簡単(ではない)選択

モスクワ国際関係大学国際関係外交政策学部の専門家のコンスタンチン・ヴォドピヤノフ氏は、日本政府が国民への配慮を優先してこの決定をとったというのは疑い深いとして、次のように語っている。

「米国の国益は日本政府にとってはずっと大事だ。その一例として引けるのが鳩山由紀夫元首相で、鳩山氏は沖縄の米軍基地反対運動が最も盛んな時期に、この問題を米軍基地を撤廃するまで抜本的に解決するという選挙公約を出したが、それを守ることはできず、2010年には退陣を迫られた。

日米安保条約の枠の中で日本政府が2つの炎の間に立たされることはよくある。片方の側からは世論が、もう片方の側からは同盟国、つまり米国のニーズが押してくる。自国民をとるか、米国をとるかという強硬な選択に迫られると、ほとんどの場合、優先されるのは米国政府だ。」

尖閣諸島への接近が目的?

これを中国は、日本が係争水域へ接近し、そのコントロールを強化しようとしていると受け取った。サウス・チャイナ・モーニング・ポストは「新たな基地は、日本が尖閣諸島と呼び、中国との領土論争の中心にある釣魚諸島の防衛に使われる恐れがある」と書いている。

ヴォドピヤノフ氏の考えでは、島購入は尖閣諸島とは直接には関係はない。だが中国の懸念も根拠がないわけではない。

「日本の政策はここ数年でずっと攻撃的になった。昨年の12月18日に発表された新たな防衛計画の大綱(NDPG)と中期防衛力整備計画。

これには防衛費の拡大も、最新鋭兵器の購入も書かれていた。当時の岩屋 毅防衛大臣は大綱を紹介しながら、日本は海上、空中の優位性の確保を目指すと語った。これは法令の上では軍隊を持たず、東南アジア諸国と中国で最良の評判を持っているわけではない国の防衛大臣の発言にしては、かなり強硬なものだ。このため中国の懸念はある程度当然のことといえる。これに安倍首相とトランプ米大統領の特別な関係をプラスしなければならない。今の状況ではトランプ氏の政策は世界のあらゆる国で一義的ではない反応を呼んでおり、米国の専制に歯向かう欧州の同盟国とも、中東諸国とも問題がある。そうした中、日本は米国にとってはほぼ最も忠誠をつくす同盟国であり続け、トランプ氏に定期的によいニュースを届けている。だから米空軍のための島購入もこうしたイラストレーションのうちにはいる。いわば日本から米国へのプレゼントと言えるだろう。」

おそらくこの「プレゼント」で日本政府は2021年に控える在日米軍駐留経費負担の協定更新を前に同盟国を喜ばせたいとも思っているのだろう。この協定では米国はこの地域における日本の安全を保障する義務を負い、日本も米軍基地が攻撃された場合、これを防衛し、その経費を部分的に負担する義務を負っている。協定にそい、日本は毎年18億ドル近くの駐留経費を負担している。

この記事に示された見解はスプートニク編集部のものとは必ずしも一致していません。

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軍事, 米国, 日本
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