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    福島第一原発周辺の海水浴場の砂 「記録的放射能」

    福島第一原発周辺の海水浴場の砂 「記録的放射能」

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    2011年3月の福島第一原子力発電所の事故直後、セシウム(Cs)137やその他の放射性核種(核種とは、固有の原子番号・質量数・原子核のエネルギー状態によって区分される原子核または原子の種類のこと。一つの元素には、一般に質量数の異なる数種の核種が存在し、互いに同位体と呼ばれる)が、原発から数十キロ離れた太平洋岸の海水浴場に波や満ち潮によって沈着し、現在そうした放射性物質は徐々に太平洋に戻っている。学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に掲載された論文で環境学者らが述べている。

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    米ウッズホール海洋研究所(WHOI)のヴァージニー・サニアル(Virginie Sanial)氏らは数年間にわたり、海水魚を捕獲して放射性核種のレベルを測定することで福島第一原子力発電所周辺海域の放射能の状況を追跡調査した。既に2012年4月にサニアル氏らは異変に気付いた。最も危険性の高いセシウム137とAg110m(銀の放射性同位体)の値が予測されていたよりも明らかに低かったのだ。

    ではそのセシウム137はどこへ消えたのか。この問いを解明するため、サニアル氏らは原発から半径およそ120キロ圏内の土壌サンプル中の化学物質や同位体の構成を調べた。その結果、原発から遠く離れた海水浴場の砂の中では放射能レベルとセシウム濃度が、原発そのものに隣接する水域と比べておよそ10倍高いことがわかった。

    なぜこのような状況になっているのか、サニアル氏らは実験によってその理由を明らかにした。セシウム137は淡水中と塩分を含んだ水中では異なる振る舞い方をする。淡水である地下水に入ると、セシウム137は砂粒に付着し始めそれ以上は移動しなくなる。一方塩分を含んだ水中では徐々に洗い流され始めるのだ。

    原発事故発生当時、大量のセシウム137、セシウム134、銀110m、その他の放射性核種が海に放出され、沿岸流とともに日本の太平洋岸に沿って南へ移動し始めた。この放射性物質を含んだ水は波や満ち潮とともに定期的に海水浴場に打ち上げられ、その結果セシウムは地下に浸透し、塩分を含んだ水ではなく、淡水が多い地下深くの砂の層に徐々に蓄積していった。

    測定の結果、砂の中の放射性核種の一部は、満ち潮によって徐々に再び海に洗い流されているとみられている。これは満潮時に水中の塩分濃度が大きく上昇するためだ。

    サニアル氏は「幸いなことに、今日汚染された砂がある地域周辺には住民も、水を飲む人もいないため、人々の生活に対する脅威は今のところ存在しない」と結論づけている。

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