2014.01.23 , 18:07

日本がいま、ロシアのサハ共和国(通称ヤクーチヤ)との協力を深めようとしている。双方は14種類のプログラムについて、ロードマップを策定中だ。日本側の出資者となるのは北海道銀行。

    日本とヤクーチヤの協力といえば、これまではダイアモンド採掘と学術調査(永久凍土に保存されたマンモスの研究など)に限られていた。それが今年、様々な分野の包括的プログラムによって、一挙に開花しそうである。日本側はヤクーチヤでの建設、農業、観光、ベンチャービジネスの発展に高い関心を示している。6年前に創設された「極寒体験の場」代表のアナトーリイ・チョムチョエフ氏はVORの取材に答えて、計画の多様さ・豊富さを次のように語った。

    「我々は日本側と14種類のロードマップを策定し、それらは北海道銀行で承認された。今年最初に着手されるプロジェクトは、おそらく、当地の暮らしに直結した設備、たとえばバイオ・トイレット、水の浄化装置、ヘラジカ調査隊・地質学調査用のテント(ナノ素材を用いたもの)、エコな「スマート・ハウス」の集合住宅(インターネットで制御可能なもの)の構築である。また、永久凍土という環境の下で温室栽培を行うための施設、「グリーン・ファブリック」の設置も計画されているし、ロシア版衛星測位システムGLONASSを用いた鹿・馬・牛の管理・追跡システムの創設や、固体酸化物形燃料電池による発送電(出力7~40kWt)も計画されている。その他にもイノベイティブなプロジェクトが多数存在する。また、計画の中には、露日北極技術センターという、展示場と実務基地をかねた施設の開設も含まれている。当地の極低温、永久凍土という環境では、金属などの物質の特性が変化する。こうした現象の研究は、狭小な学問的興味のみならず、途方もない実用性につながる可能性もある。また、特に期待が高いのが、知的好奇心に訴えるような学術的・教育的観光ルートの開発プロジェクトである。これには日本側の関心も高い。ヤクーチヤはいま、可能性の大海原なのだ」

     よく宣伝し、よくインフラを整えさえすれば、研究者だけでなく、観光客や学生が数多くヤクーチヤを訪れるはずだ。とりわけ、生物学や地質学、地理学、人類学に興味をもつ青少年が。何しろ、ヤクーチヤの名物は永久凍土であり、2万~5万年前の昔より永久凍土に眠るマンモスであり、水飲み場に現れる「ブラジャーをつけた」牝牛たちである。そう、マイナス50度という極寒で乳房を守るために、外来種の牝牛はここではブラジャーをつけている。ヤクーチヤにのみ見られる奇習である。一方、地元産の牝牛には乳房に綿毛が生えているため、ブラジャーが不要なのだという。

     興味深い現象はまだまだある。この極低温下で、イネ科の植物が栽培されているということ。同じ気温を設定した人工的な環境下では、稲はまず育たない。それから、住民の食と健康の神秘。肉や乳製品、生魚が主体で、野菜や果物をほとんど食べないにも関わらず、ヤクーチヤ市民は長寿で名を馳せる。

     とっておきの観光名所になりそうなのが、ヤクーチヤ永久凍土研究所にある、地下ラボラトリーだ。永久凍土の形成と成長について、極めて興味深い学びの場となっている。学術的にも文化的にも極めて興味ある施設だ。

  •  
    シェアする