2014.10.11 , 13:24

西側、ようやくウクライナのファシズムに目を向けた

西側、ようやくウクライナのファシズムに目を向けた

ウクライナ政権を目指してナショナリストやファシストがどっと押し寄せるだろうことを、ロシアは2月、バンデラ主義者の武装戦闘員によってヤヌコーヴィチ前大統領がキエフから追放された時点ですぐに予告していた。ところが西側がこれを理解するためにはまるまる7ヶ月もかかった。そしてこの間に何千人もの市民が殺害されてしまった。

 物の見え方というのは人それぞれに異なり、非常に特殊な見方をする人が存在する。そういった人々には自分が望まないことは絶対に目に入らない。「ウクライナのどこにファシズムがあるというんです?」たとえばモスクワの都心で赤と黒のナチスの旗を翻し、「ウクライナの民主主義」を支援する反政府デモに立つロシア人リベラル派はこう尋ねてくる。オデッサの労働組合会館でウクライナ人組織によって自分たちに反対する者らが火あぶりにされ、反体制派の政治家らが殴打され、ロシア人ジャーナリストらが殺され、ドンバスの数都市で何十人もの死体が埋められているのが発見されている事実をロシアのマスコミがあれだけ大々的に報道しても、こうした人間らには何も映らない。こうした人々たちは平和的革命の結果、キエフ政権には正真正銘の民主主義者がきて、権威的なロシアはウクライナが自由と西側流の価値に向かって進もうとするのを阻害しようとしているのだ、と固く信じている。同様な状況把握をしているのは米国、EU,日本の指導者らも同じであり、ロシアに対してどんどん新たな制裁を発動し続けている。「自由で客観的な」西側のマスコミは自分自身でも気づかぬうちにプロパガンダのツールに成り下がり、この「世界図」に見せかけの真実もどきを付与しようと必死だ。見せかけの礼節についてはもう誰も思い出そうともしていない。

 このシステムはマイダン広場で騒ぎが持ち上がった当初から(昨2013年秋から)割合うまく作動していた。だが今になって、システムは故障を起こし始めた。

英国のテレグラフ紙は、ウクライナの急進主義はコントロールを逸しはじめており、これは物騒な結果を招きかねないと報じた。さて、テレグラフ紙を脅かしたのは何だったのだろうか? 「右派セクター」戦闘員や他のウクライナの「愛国者」らが行った、いわゆる「ごみの国勢調査」だ。これは「革命の大多数」には役に立たぬ役人や政治家をゴミ回収のコンテナーにつっこみ、そのままの状態で辞職願を書くことを強要させるというものだ。テレグラフ紙は、こうした行為はリンチや私刑に近く、あまりにも度を越しかねないと指摘している。

 その可能性はある。イーゴリ・コロモイスキー知事のいるドネプロペトロフスク州のボリス・フィラトフ副知事は、「明日」には役立たずどもはゴミ箱に投げ入れられるのではなく、外灯にぶら下げられるだろうと断言している。2月、自身のブログで「人間の屑にはあらゆる約束を与え、あらゆる譲歩を行わねばならない。吊るし上げ…、吊るし上げるのは後だ」と書いたのはまさにフィラトフだった。どうやら、フィラトフもそれに同等の人物らも、吊るし上げの時がウクライナには到来したと決めたらしい。

ウクライナ全土に自己流のneue Ordnung(新秩序)を打ち立てるというウクライナのナチス主義者らの宣言や脅迫がまさに、クリミアやドンバスの親ロシア主義運動の興隆を招いたのだ。

クリミアとドンバスに関してはウクライナのナチス主義者もうまくいかなかった。ウクライナの構成体にロシアのロストフ州とクラスノダール地方を含め、その後、モスクワでマイダンを展開すると豪語していたが、その声も止んだ。このためウクライナのナチス主義者らは欧州へと邁進した。だが欧州で「ウクライナに栄光あれ!」、「秀逸のウクライナ」と吠え立てたことで、これはかつてのDeutschland über alles(世界に冠たるわがドイツ)をそっくりそのまま髣髴させてしまい、同情や感動を呼ぶことは無かった。ウクライナのナチス主義者らは憤慨を招き、時には単に殴打された。先日、マドリッドのコンプルテンセ大学の学生らはウクライナのナチス主義者らの標的にされてしまった。学生グループはウクライナの人道状況のカタストロフィーについてレクチャーを行い、オデッサ、ドンバスのウクライナ軍人、戦闘員の犯罪行為を映した写真展を催していたが、これをウクライナのナチス主義者らはぶち壊し、まったく無作法に部屋から追い出したのだ。その後、奪ったウクライナの国旗をもったスペイン人学生らはウクライナ大使館に抗議を申し入れ、「ファシズムは許すまじ!」と叫びたてた。

 これでは欧州では学生や国民のほうがその指導者よりずっと頭がいいということになる。だが、指導者の頭もよくなるのではないかと期待はもてる。重要なのは、かつてヒットラーの台頭を「見逃し」てしまったように、気づくのが遅すぎた歴史を繰り返せねばならない。

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