2014.12. 7 , 16:17

モスクワ国立大、永遠の若さの秘密を解き明かす

モスクワ国立大、永遠の若さの秘密を解き明かす

   年老いることなく120年をながらえる。そんな未来をロシアの生理学者らは描いている。モスクワ国立大が新種の抗酸化物質の実験を行っている。

   老化をとどめ、若さを長引かせる薬が出来るかもしれない。

   われら人類が父祖のひとりメトシェラ(旧約聖書中の人物)は969歳まで生きた。卑小になったわれわれにそれは無理。長寿の最高記録は122年である。ロシアの研究者たちは、ちょうど、この数字を目安にしている。モスクワ国立大生物学部の研究員、マクシム・スクラチョフ氏は次のように語る。

   「人体には、加齢とともに、小さな傷が蓄積していく。これらは偶然に起こることではない。私たち自身が、毒性物質を合成し、そうした傷を作り出しているのだ。その物質はフリーラジカルと呼ばれる。その存在は早くから知られていたが、昔はそれらは体外からもたらされると考えられていた。ほんとうは、われわれ自身が合成しているのである」

    フリーラジカルはミトコンドリアと呼ばれる特別な細胞の中で作られる。その酸素によって栄養物質を燃焼させ、エネルギーを生み出している場所である。そんなミトコンドリアにも暗黒面がある。酸素の一部を使ってむざむざフリーラジカルを合成するのである。ロシアの科学者たちは、この働きを狙い撃ちする考えだ。

   「我々は、狙いすまして、ナノメートル単位の精度で、ミトコンドリアの中へ入り込み、フリーラジカルを「捕まえ」、かつ中和する物質を考案した。SKQという名の抗酸化物質だ。2005年に合成に成功して以来、研究を続けている」

   すでに試験薬がマウス、犬に対し投与され、効果を調べられている。いずれのケースでも、薬を投与された個体は老化がおさえられ、白内障や緑内障、アルツハイマー病などの、高齢者に多いとされる疾患が発現しなかった。これら疾患のおこる原因についてはまだ未解明な点も多いが、ロシアの科学者らの実験結果は、ここにもフリーラジカルの暗躍があることをうかがわせる。つまり、この開発中の薬は、少なくともそれら疾患の予防の効果は果たすようだ。

   ただし、動物によく効く治療法が、いつも人間にもよく効くわけではない。マクシム・スクラチョフ氏の研究チームが開発した薬が、いよいよ来年、人間に試験投与されることになっている。いよいよ勝負のときが近づいたわけだ。もし効果ありと出れば、魔法の薬が内服薬の形で処方される未来が開ける。

   実は、この開発中の薬の、眼科版が、もうロシア国内では市販されている。白内障その他への薬効が保健省にも認められ、販売が許された。

   薬はいたずらに生命を延長させることを目指すものではない。若さを長引かせ、老いを遅らせることが重要な課題として定められている。スクラチョフ氏は、最初の老いの発現が90-100歳くらいで現れるようになれば上々だ」としている。

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