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中国では、遺伝子組み換え食品が健康にとって有害であるという根強い不信感が根強い。世論調査を見るとそれが如実に示されている。
穀物栽培が盛んな地域のひとつである中国の北東地方・黒竜江省は、2016年に大豆を含めた遺伝子組み換え穀物の栽培を禁止した。世論調査では91.5%が遺伝子組み換え作物に反対と回答している。遺伝子組み換え米「華輝1号」は、1998年から中国・武漢市にある華中農業大学の研究グループが開発を進めていた。この米は害虫に強く、そのため過度な農薬の使用を必要としない。2009年、中国農業省は、「華輝1号」への品質証明書を発行した。それにも関わらず、この食品は一度も商業市場に出回ることはなく、国内では大量栽培が禁止された。
中国での遺伝子組み替え米の流通が禁止された後、「華輝1号」の研究開発チームは、国際市場への出荷を試みることを決意し、2009年から米国をはじめ、海外で食品の安全性の承認を得ようと努めてきた。2017年1月11日、米国食品医薬品局は遺伝子組み換え米を承認し、「華輝1号」は栄養価や品質、その他の要素において、同種の食品と比べて過不足ないことを認めた。しかし実際には、米国ではいまだ国内での遺伝子組み換え米の大規模栽培は許可されておらず、こうした食品の市場への供給も許されていない。こうしたもと、食品医薬品局の証明書の発行は、流通への第一歩が踏み出されたことを意味した。研究開発チームには、東南アジア市場への拡大計画があるが、そのためには、投資と法的な支援が必要となる。 遺伝子工学とその日常生活への導入というテーマは、依然として矛盾をはらみ、多くの議論を呼んでいる。農業技術の専門家の中には、遺伝子工学は徐々に農業の中に根付いていくと考える者もいる。一方、遺伝子工学を用いることを原則的に拒否する批判的な考えも権威あるものとして存在する。雲南省生態農業研究所のナ・ジュンユアン所長は、遺伝子組み換え食品のマイナス面は、人間の健康に対する不明瞭さを減少させていないだけではないと、スプートニックに明かした。
「遺伝子組み換え作物の創造は、新しい科学的手法の道を開いた。研究を続けることにより、今は無理でも、将来的に問題を解決できることも夢ではないと思う。ただし現在の技術レベルでの研究は、こうした食品をまったく安全であると証明することは出来ず、そのため商品化することもできない。遺伝子組み替え作物を大規模栽培する場合、生物多様性への損害を引き起こすかもしれず、それはまさに計り知れない損害となり得る。広範に用いられているハイブリッド品種がもつ危険性をはるかに上回るリスクがここにある。遺伝子組み換え食品のリスクを生み出しているのは遺伝子組み換え作物であることは間違いない。こうした作物を食品に用いることは必要に迫られての措置だ。もし、遺伝子工学を用いない新しい技術の転換が図られるならば、各国や国連は遺伝子組み換え食品からの完全な撤退を協力して行う必要がある。」
長年に渡り、環境にやさしい農業という課題に取り組んできたナ・ジュンユアン教授は、遺伝子組み換え食品が市場全体を占めることはありえないと確信している。「それはまったく不可能だ。もし私たちの研究所がなかったなら、遺伝子組み換え作物の栽培は中国で急速に広まっていただろう。国家に求められるのは公正で開かれた選択を行うことであり、そうした下では遺伝子組み換え食品は完全に市場を失う。私たちが研究所で取り組む環境にやさしい農業のための技術は、あらゆる点で遺伝子工学の方法より優れている。」
米国食品医薬品局 が中国産遺伝子組換え米の安全性を承認。これを機に農業への遺伝子工学の導入は進むだろうか?https://t.co/PpKhbuywV1
— Sputnik 日本 (@sputnik_jp) 9 февраля 2018 г.
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