01:33 2018年11月20日
ロシア映画の話題作『アンナ・カレーニナ ヴロンスキーの物語』『マチルダ』

「魅力的で恐ろしい女性」 日本人にとってロシア人女性を理解するのは難しい?

© 写真: Mosfilm (2017) © 写真 : Rock Films (2017)
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アナスタシア フェドトワ
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7月10日と11日、東京にある国立映画アーカイブで、ロシア映画の話題作『アンナ・カレーニナ ヴロンスキーの物語』と『マチルダ』が上映された。2本の作品共に、主役は複雑な性格と運命を持った恋するロシア人女性だ。

スプートニク日本

小説『アンナ・カレーニナ』を新たに映画化した『アンナ・カレーニナ ヴロンスキーの物語』は、ロシアの評論家たちの間で様々な反応を呼び、ロシア皇帝ニコライ2世とバレリーナのマチルダ・クシェシンスカヤのロマンスを描いた『マチルダ』は、大きなスキャンダルを呼んだ。

通信社スプートニクは、東京での上映後に観客にお話を伺い、ロシア人女性の謎めいた性格は現代日本人にとって身近であるかどうかについて明らかにした。

  • 皇帝への愛がスキャンダルに

ロマノフ王朝終焉から100年目の2017年、ロシアで皇帝ニコライ2世とバレリーナ、マチルダ・クシェシンスカヤのロマンスを描いた映画が上映された。ロシアでは同映画をめぐってスキャンダルが勃発し、同作品は上映前から大きな話題となった。

ロシア下院(国家会議)のナタリア・ポクロンスカヤ議員は、ロシアの皇帝といかがわしい評判のバレリーナの愛の物語は、信者の感情を侮辱するとして監督を批判した。またポクロンスカヤ氏は、上映を禁止さるために、ファシストの役を演じたことがあるとしてニコライ2世を演じたドイツ人俳優のラース・アイディンガー氏を批判したり、撮影班が公的資金を盗んだとしてそれを暴こうとしたり、検察庁に調査を求める書簡を送ったり、ロシア正教会に援助を求めたりし、さらにはラスベガスで起こった銃乱射テロと同映画をめぐる状況は似ているとの考えを示した。

だがポクロンスカヤ氏を支持する正教会の活動家たちはさらにアグレッシブだった。『マチルダ』を制作したアレクセイ・ウチーチェリ監督は、一度ならず脅迫を受けた。

しかし『マチルダ』は上映された。国による調査でも、観客の評価でも、皇帝とバレリーナの関係に関する芸術的解釈に侮辱的なものは一切見つからなかった。さらにニコライ2世は、未来の妻アレクサンドラ・フョードロヴナとの婚約前にマチルダ・クシェシンスカヤと実際に交際していたことが歴史的に証明されている。ニコライ2世との破局後、マチルダは複数の偉大な大公や皇帝の親族と交際した。マチルダは、ニコライ2世の死から53年後の1971年に99歳で亡くなった。

マチルダ・クシェシンスカヤという人物や、同映画そのものに関する日本の観客たちの感情は異なり、映画の反対者を支持する人たちもいた。

スプートニク:映画を観る前にマチルダについて知っていましたか?

エリックさん:知りませんでした。ニコライII世が最後に死んだことは知っていましたが、マチルダという魅力的で恐ろしい女性のことは知りませんでした。男性にとっては、運命を変えてしまうかもしれないという意味で恐ろしいですね。素晴らしい映画で、こういう映画が作れるというのはロシアは隣国ではありますがまだまだ知らないことがたくさんあるのでミステリアスですね。

スプートニク:マチルダという人物についてどうお考えですか?

ヨコヤマ アヤカさん:映画を観る限りでは、マチルダが何をしたいのかが余り理解できなかったです。

ツチダ マキコさん:自分のしたいことをして生きていたと思うんですが、最後に出てくる、マチルダは99年生きたというのが意味深でした。ニコライは早くに殺されましたが、マチルダは長生きしたのは印象的でした。

オザキ マサミさん:ロシアでバレエは高貴なもので、マチルダも高貴な意思を持って入り、演技にもそれが表れていたと思うんですが、愛にすべてが壊されていく切なさというか、狂気が印象的でした。

スプートニク:映画についてはどう思いましたか?

ヨコヤマ アヤカさん:私は昔バレエをしていたので、最初のシーンのバレエの描き方がすごく嫌な感じがしました。ロシアで保守的な人たちがこの映画についてあまりよく思っていないと聞きましたが、私には理解できました。ただ、全体的にはバレエの描き方以外はすごくきれいな映画だと思います。

ツチダ マキコさん:衣装は電飾を使っている感じで、今の映画じゃないとできないような技術を使って昔の時代を撮っているのが印象的でした。また、演出がドラマチックで、過剰なほどドラマチックだったので、これは監督の意志なのかと思いました。

  • 露日戦争を舞台にしたアンナ・カレーニナ
レフ・トルストイの小説『アンナ・カレーニナ』を新たに映画化した『アンナ・カレーニナ ヴロンスキーの物語』は、ロシア社会における反響はそれほどではなかったものの、大きな芸術的批判を呼んだ。監督のカレン・シャフナザーロフ氏は、原作の続編としてアンナ・カレーニナの愛人ヴロンスキーと、アンナの息子の30年後の姿を描いた。シャフナザーロフ監督に文学的インスピレーションを与えたのが、作家ヴィケンチイ・ヴェレサエフ氏の小説『日本との戦争で』だった。そしてアンナ・カレーニナとその夫、そして愛人の3人の間で繰り広げられるドラマが、初めて露日戦争を舞台に描かれた。

評論家たちは、ヴェレサエフ監督の同手法を長所として評価しなかった。戦争の題材は映画の予算を増やすために必要だったという噂が流れた。俳優の演技や原作との数多くの違い、またメイク(観察力のするどい評論家たちは、登場人物たちの口ひげがよくとれかかっていたことに気づいた)も疑問を呼んだ。

だが日本の観客たちは、映画を観たことで原作を読んだり、アンナ・カレーニナの感情を自分なりに考えてみたくなったと語った。

スプートニク:映画は気に入りましたか?

ユミさん: 「はい、気に入りました。ですが、アンナの気持ちの変化が少し難しかったです。

スプートニク:アンナの気持ちは何か理解できましたか?

ユミさん:「映画だけでなく、原作を読んでみたいと思いました。

スプートニク:アンナ・カレーニナはまだ読んだことがないですか?

ユミさん:「子どものときに簡単にしたものだけ読んだことがありますがもう忘れてしまったので、ちゃんと原作を読みたいなと思います。

スプートニク:日本軍の点など原作と違う映画ですが、その解釈についてどうお考えですか?

ユミさん:背景が変わっているということですね。興味深かったです。映画冒頭あたりに日本軍が来て、人の首を切っているシーンがありますが、それは怖かったですし、ロシア人はそのように日本軍のことを見ているのかと興味深くもありました。満州が舞台でしたし、日本人が中国ですごく残酷なことをしたと、今のロシア人が思っているのかなと思いました。それはアンナ・カレーニナのもともとの筋とは違うかもしれないですが。

ケンさん:フランス映画などと違い、ロシアは結婚などの点で厳格であり、ちゃんと離婚しないといけないのかと思いました。あとは、原作を読まずにいきなり映画を観ているので、よくわからない部分があった。主人公が爆破して死ぬんだと理解しましたが、時代背景がわからず、なぜそうなったのかわからないこともありました。その点は後で調べてみればいいかなと思います。

『アンナ・カレーニナ ヴロンスキーの物語』と『マチルダ』は、日本におけるロシア年の一環として上映された。「国立映画アーカイブ開館記念 日本におけるロシア年2018ロシア・ソビエト映画祭」は、国立映画アーカイブで8月5日まで開催される。

なお『マチルダ』は、同じくロシアにおける日本年の一環として、今年11月に再び日本の映画館で上映される。

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