2015.03.17 , 08:42

見つめあう上海協力機構と日本

見つめあう上海協力機構と日本

   先日閉幕した上海協力機構のハンティ・マンシースク・フォーラムで機構の拡大について討議がなされた。早ければ夏のウファ・サミットでインドとパキスタンの加盟が決まりそうだ。

   さらにアフガニスタン、イラン、トルコがパートナーあるいはオブザーバーとしての加入を希望している。では、日本はどうか。フォーラムには今回、益尾知佐子・九州大教授がオブザーバー参加した。

   フォーラムでは「上海協力機構と日本の協力」という一筋縄ではいかないテーマをモスクワ国立国際関係大学の専門家アンドレイ・イワノフが取り上げ、発言した。

   「日本は公式に上海協力機構への関心を表してはいないが、関心が存在すること自体は疑えない。機構のキー・メンバーである中国は、日本の最大の経済パートナーである。日本政府は中央アジアとの経済協力発展に関するプログラムを抱えている。中央アジアは日本にとって、エネルギー資源を含む天然資源の供給元である。我々がそれを望むと望まざるとに関わらず、日本は中央アジアにおけるプレゼンスを2国間ベースで拡大しようとしているのだ。日本が上海協力機構の枠内で地域協力に加わったなら、不信感と競争が亢進する危険が低まることだろう」

   しかし日本が上海協力機構に参入するのは簡単なことではない、と九州大学の益尾知佐子氏は語る。

   日本では一般的に「上海協力機構は西側に対抗する組織だ」と思われているので、もしその誤解が解けていけば、だんだん興味を持つ人が増えてくると思います。私たちにとっては、上海協力機構は非常にミステリアスな組織でしたので、今回参加させていただけて、現実にどんな議論が行われているかを聞けてよかったです。

   (上海協力機構が多くの日本人にとってミステリアスなものにとどまっている理由は)やはり記者が参加できる部分が限られているからでは。中の議論をもう少しオープンにしていけば、外国人に公開していけば、実際にみなさん方がどういう問題に関心をもってやってらっしゃるのかということがもっとわかっていくんじゃないかと。理解が広がっていくんじゃないかと思います。

   私は先月、上海協力機構の北京にある事務局にお邪魔したんですが、そこに実際にレターを書いて「インタビューを受けてもらえますか」と訊いたときには、上海協力機構の方が応じてくれるかどうか分からなかったんです。で実際に行ってみると、「ここはオープンな、透明性の高い組織ですから」と言われまして、いいお話を聞けたんですけども、私のように、ある種の偏見をもって上海協力機構を見ている政治家というのはかなり多いんじゃないかと思います。やはりその、中国とロシアが米国に対抗するために作った組織だと思われていますから。ですからその部分が、実際にそうでもないんだという部分が分かってくると、政治家の中にも、「じゃ、ちょっとアプローチしてみようか」というふうに考える人が出てくる可能性も高いと思います。

    中央アジアは潜在的に協力の可能性は非常に大きいと思うんです。いま中国が言っている「一帯一路」の構想がどこまで発展するのかというのは、日本でも関心をもって見ている人がかなり多いと思います。もし上海協力機構が具体的な協力プログラムを出してくるのであれば、日本のなかにも、たとえば中央アジアの援助プラグラムを、それと協調しながらやったほうがいいんじゃないかと考える人は出てきますので、実際に経済プログラムが進めば、話し合いをしてみようと、関心を持つ人は増えると思いますし、またその可能性も増えていくんじゃないでしょうか。

    いま世界はとっても面白い時期だと思うんです。中国が大国化している。非常に勢いをもって世界の政治経済に影響を与えてきているわけです。それに対してどういうふうに対処していくのかというのは世界各国の問題だと思います。で日本は非常に大きな問題を抱えているわけですけども、そういう状況のなかで、たとえばロシアであるとか、中国と関係が深いと思われている国に対してもっとアプローチをしていくべきじゃないかという考えはかなりあるんですよ。ですから、お互いに猜疑心をもって見ている間は何も起こらないかもしれないんですが、発想の転換が起こり始めると、「もっとロシアと日本との関係を深めることで日本と中国との緊張関係をバランスさせていこう」ということを考える可能性というのは、現政権にも十分にあると思います。

 

 

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