18:56 2019年09月21日

日本は宇宙における軍拡競争に加わるのか?

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19日、読売新聞は、日本政府が有事の際に外国の軍事衛星を妨害する「妨害衛星」を打ち上げる方向で検討に入ったと報じた。記事では、ロシアと中国も同様の衛星を開発することができるため、日本は抑止力強化が必要だと指摘されている。日本は「宇宙戦争」コンセプト実現に助力するのだろうか?スプートニクがロシアの軍事専門家らにコメントを求めたところ、それらの意見は全く異なるものであった。

軍事アナリストで防空軍博物館の館長、ユーリー・クヌトフ氏は、日本は実質的に米国とともに、すでに宇宙における軍拡競争のメンバーに含まれていると指摘する。

クヌトフ氏「すでに、米国のX-37計画は、衛星を破壊できる能力がある。米国は積極的に宇宙に関与し、開発をやめようとはしていないが、それはとても高くつく。トランプ米大統領の実利主義を考えれば、コンピューターテクノロジー分野で大量の資料を有している日本の宇宙開発が米国の節約に貢献する可能性を、私は排除しない。なので、おそらく日本の衛星システムというのは、米国の承認と助けを得て作られるだろう。」

宇宙政策研究所のイワン・モイセーエフ所長は、意見を異にしている。

モイセーエフ氏「いわゆる妨害衛星の発射は、疑いなく、宇宙における攻撃用武器の配置を意味する。しかし日本がそんなことをするとは思えない。平常時に他国の衛星を破壊するということは宣戦布告と同様である。戦時に備えて非常に高額な衛星を開発するというのは、費用対効果から言えば全くの損だ。ソ連はこの種の衛星の開発を1970年代から80年代にかけて行なったが、やめた。なぜなら一回しか使えない、他国衛星攻撃用の衛星の開発と発射は、信じられないほど高額だからだ。その単位は何十億ドルというものだ。しかも、他の方法だってある。敵の衛星を地球上からのミサイルで破壊する、などだ。中国、それに続き米国が、すでに使えなくなり、地球にとって危険になるかもしれない衛星を破壊するという名目で、この種の実験をすでに行なった。今年の春、インドが衛星を破壊するミサイルの実験を成功裏に行なった。日本もこのことはよく承知しているはずだ。なので、日本が、全く効果的でない、妨害衛星開発をしようとしているとは思えない。」

日本は2020年に自衛隊発の宇宙部隊を創設する計画だ。そしてそれはもちろん、米国の宇宙軍と連携していくことになる。米国での宇宙軍創設は、今年2月、トランプ大統領によって、法案を作成するよう指示された。

クヌトフ氏は、宇宙における軍拡競争は非常に大きなリスクをもたらし得ると考えている。

クヌトフ氏「国連において、宇宙の軍事開発に関する完全な取り決めはない。これのせいで、他の国も、宇宙における軍拡競争に参加する結果になる。例えばインドやパキスタン、イスラエルなどだ。宇宙に場を変えた軍拡競争は、将来、世界に深刻な結果をもたらすだろう。米国はかつてイージスシステムを使って、低軌道上にあった複数の自国衛星を破壊し、それなりに大きな軌道を使用不可能にしてしまった。そのためその軌道を使うことはできず、何も飛ばすことはできない。このように20、30の衛星が爆発してしまえば、衛星の残骸で、多くの軌道が宇宙ゴミでいっぱいになってしまうだろう。これは通信や天気予報、テレコミュニケーションなどに必要な民間用衛星の活動を阻害するものだ。」

モイセーエフ氏は、宇宙開発に取り組む国はそれぞれ、望むと望まざるとに関わらず、宇宙の軍事化にある程度貢献してしまっていると指摘する。

モイセーエフ氏「スパイ衛星の打ち上げ、特別な回線のための衛星、他の衛星を監視する衛星、ミサイル防衛用衛星など、宇宙の軍事化はすでに60年も行なわれている。全体として、二つの種類がある。攻撃用衛星と、何かを提供する衛星だ。平時でも戦時でも、主な役割を担っているのは二つ目の種類の衛星だ。それは通信回線やナビゲーション、天候、距離をとった偵察などで、そもそもこれらは軍用として開発されたものの、平常時に我々の役に立っている。現在、有用な衛星を自力で飛ばすことができるのは米国、EU、ロシア、中国、そのあとに日本、インド、イスラエルといった国が続く。その中には例えばロシアのように、操縦の観点から宇宙航法に優れている国もあるし、ナビゲーション衛星に優れている国、研究衛星開発に優れている国もある。もし、衛星の設備の大部分が二重の意味を持っていることを考慮に入れれば、これらそれぞれの国は、好むと好まざるとに関わらず、宇宙の軍事化に貢献していると指摘することができる。」

またモイセーエフ氏は、二重の用途に使える衛星を開発・利用することは、常に他国に警戒されることであり、時には安全を阻害する直接的な脅威として受け止められることもある。なので、日本が妨害衛星を開発するとしたら、隣国にネガティブに受け止められる可能性も否定できない、と指摘している。

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